エッジAIハードウェアとプラットフォームの概要

AI

エッジAI

エッジAIハードウェアとプラットフォームの概要

本構成案では、エッジAIのハードウェアとプラットフォームに関するいくつかの主要な選択肢を提案します。これらのオプションは、異なる性能、コスト、および独自の技術を提供しており、エッジデバイスにおける人工知能(AI)アプリケーションの効率的な実装を可能にします。選択されたハードウェアとプラットフォームは、NVIDIA Jetson、Google Coral、Intel Movidius、Raspberry Pi、およびApple Neural Engineです。これらは、それぞれ異なるニーズと予算に応じて最適なエッジAIソリューションを選択できるようにするための幅広い選択肢を提供します。

 

製品名 主な用途 ユースケース
NVIDIA Jetson AI、機械学習、ロボット、IoTデバイス 自動運転車両、ドローン、顔認識、セキュリティカメラ、産業用ロボットなど
Google Coral エッジデバイス上でのAI推論 物体検出、画像分類、音声認識、IoTデバイスにおける高速推論など
Intel Movidius コンピュータビジョン、AI推論 画像認識、セキュリティカメラ、ドローン、ロボット、医療画像処理など
Raspberry Pi エッジコンピューティング、IoTデバイス、教育 ホームオートメーション、ロボット、ウェアラブルデバイス、教育用プロジェクトなど
Apple Neural Engine Appleデバイス上でのAI、機械学習、音声認識など Siri音声アシスタント、顔認識、ARアプリケーション、リアルタイム画像処理、手書き文字認識など

NVIDIA Jetson

NVIDIA Jetsonは、エッジデバイス向けの高性能AIプラットフォームです。このプラットフォームは、CUDAアーキテクチャに基づくGPUを利用し、ディープラーニング、画像処理、およびロボット工学アプリケーションをサポートしています。低消費電力と高い計算能力を兼ね備えたJetsonは、IoTデバイスや自律ロボットなどのエッジAIアプリケーションに適しています。

モジュール

  • Jetson Nano
    低コストで高いパフォーマンスを提供するJetson Nanoは、エッジAIアプリケーションやIoTプロジェクトに最適です。CUDAアーキテクチャに基づくGPUを搭載しており、効率的なディープラーニング推論が可能です。

  • Jetson Xavier NX
    Jetson Xavier NXは、高性能なAIアプリケーションに対応するエッジAIプラットフォームです。ディープラーニング、画像処理、およびロボット工学アプリケーションをサポートし、複雑な計算タスクに対応します。

  • Jetson AGX Xavier
    Jetson AGX Xavierは、最も高性能なエッジAIプラットフォームで、自動運転車や産業用ロボットなどの複雑なエッジAIアプリケーションに適しています。高い計算能力と低消費電力を実現し、ディープラーニングアプリケーションのパフォーマンスを最大限に引き出します。

 

特徴

  • CUDAアーキテクチャに基づくGPU
    NVIDIA Jetsonプラットフォームは、CUDAアーキテクチャを採用したGPUを搭載しています。これにより、並列処理の恩恵を受けることができ、高速な計算処理が可能になります。このアーキテクチャは、エッジAIアプリケーションにおいてリアルタイムの処理と応答性を向上させるために重要です。

  • Deep Learningアクセラレーション
    Jetsonプラットフォームは、ディープラーニングモデルのトレーニングと推論を高速化するための専用ハードウェアアクセラレーションを提供します。これにより、エッジデバイス上での人工知能(AI)アプリケーションの性能が向上し、より複雑なモデルや大規模なデータセットを扱うことができます。

  • 低消費電力
    NVIDIA Jetsonプラットフォームは、省エネ設計により低消費電力を実現しています。これにより、バッテリー駆動のエッジデバイスや省電力が重要な環境での使用に適しており、デバイスの稼働時間を延ばすことができます。低消費電力は、エッジAIアプリケーションにおいて長期間の稼働や安定性が求められる場合に特に重要です。

参考リンク:公式NVIDIA Jetsonによる組込みシステム

Google Coral

Google Coralは、エッジAIアプリケーション向けの高速機械学習(ML)推論プラットフォームです。このプラットフォームは、Edge TPUと呼ばれる専用のAIアクセラレータを使用して、エッジデバイス上でリアルタイムの推論を実行する能力を提供します。Google Coralは、低レイテンシと高いエネルギー効率を実現し、幅広いエッジAIアプリケーションに適した高性能なソリューションを提供します。また、TensorFlow Liteをサポートしており、開発者が簡単に既存のモデルを移植してデバイス上で実行することができます。

 

モジュール

  • Coral Dev Board
    Coral Dev Boardは、Google Coralプラットフォームの開発キットであり、Edge TPUを搭載したシングルボードコンピュータです。このボードは、エッジAIアプリケーションの開発やプロトタイピングに適しており、さまざまなインターフェースと拡張性を備えています。

  • Coral USB Accelerator
    Coral USB Acceleratorは、USBインターフェースを介してエッジデバイスに接続できるEdge TPU搭載の外付けアクセラレータです。これにより、既存のデバイスに簡単にAI機能を追加することができます。低消費電力で高速な推論性能を提供し、様々なエッジAIアプリケーションに対応します。

  • Coral M.2 Accelerator
    Coral M.2 Acceleratorは、M.2インターフェースを利用してエッジデバイスに統合できるEdge TPU搭載のアクセラレータモジュールです。これにより、コンパクトなフォームファクタでエッジデバイスにAI機能を追加することができます。M.2 Acceleratorは、省スペースで高性能な推論を実現するためのソリューションとして、さまざまなエッジAIアプリケーションに適しています。

 

特徴

  • Google Edge TPU
    Google Coralプラットフォームの主要な特徴であるEdge TPUは、専用のAIアクセラレータであり、高速な機械学習推論をエッジデバイスで実現します。このアクセラレータは、低レイテンシと高いエネルギー効率を提供し、リアルタイムのAIアプリケーションに適しています。

  • TensorFlow Liteサポート
    Google Coralプラットフォームは、TensorFlow Liteをサポートしており、開発者は簡単に既存のTensorFlowモデルを軽量化し、Edge TPUで実行できるようにすることができます。これにより、エッジデバイス上でのモデルのデプロイメントが容易になり、開発の効率が向上します。

  • 低レイテンシ推論
    Coralプラットフォームは、低レイテンシの推論を実現し、リアルタイムのエッジAIアプリケーションに適しています。これにより、迅速な応答性と処理速度が求められるアプリケーション(例:自動運転車、ドローン、ロボットなど)での使用に最適です。低レイテンシ推論は、エッジAIアプリケーションにおいてユーザー体験や性能を向上させる重要な要素です。

参考リンク:公式Google Coral

Intel Movidius

Intel Movidiusは、エッジAIアプリケーション向けのビジョンプロセッシングユニット(VPU)です。この専用ハードウェアは、画像認識やコンピュータビジョンアプリケーションに特化した処理能力を提供します。低消費電力で高性能な処理を実現し、エッジデバイスでのリアルタイム画像解析や機械学習モデルの推論が可能になります。Intel Movidiusは、産業用機器、ドローン、ロボット、スマートカメラなど、さまざまなエッジAIアプリケーションで使用されています。

 

モジュール

  • Intel Movidius Myriad X
    Myriad Xは、Intel Movidiusの最新世代のビジョンプロセッシングユニット(VPU)であり、高い計算性能と省エネルギー効率を実現しています。Myriad Xは、リアルタイムの画像認識、コンピュータビジョン、ディープラーニングアプリケーションに対応し、エッジデバイスでの高速推論を可能にします。

  • Intel Movidius Myriad 2
    Myriad 2は、Intel Movidiusの前世代のVPUであり、画像認識やコンピュータビジョンアプリケーションをエッジデバイスで実行するための高い性能と省エネルギー効率を提供します。Myriad 2は、現在も多くのエッジAIアプリケーションで使用されており、開発者が省電力で高性能なソリューションを実現するための選択肢を提供します。

特徴

  • ビジョンプロセッシングユニット
    Intel Movidiusは、専用のビジョンプロセッシングユニット(VPU)を搭載しており、画像認識やコンピュータビジョンアプリケーションに特化した処理能力を提供します。これにより、高速な画像解析や機械学習モデルの推論がエッジデバイスで実現されます。

  • 低消費電力
    Intel Movidiusは、低消費電力で高性能な処理を実現し、エッジデバイスでのバッテリー寿命を延ばします。これは、省電力が重要なエッジAIアプリケーションやバッテリー駆動のデバイスに特に適しています。

  • エッジデバイス向け最適化
    Intel Movidiusは、エッジデバイスでのディープラーニングアプリケーションやコンピュータビジョンアプリケーションの実行に特化しており、低レイテンシとリアルタイムの処理を実現します。これにより、迅速な応答性や処理速度が求められるエッジAIアプリケーションでのパフォーマンスが向上します。

参考リンク:公式インテル® Movidius™ ビジョン・プロセシング・ユニット (VPU)

Raspberry Pi

Raspberry Piは、低コストで多機能なシングルボードコンピュータです。そのコンパクトなサイズと拡張性の高さから、教育、プロトタイピング、そしてエッジAIアプリケーションに幅広く使用されています。Raspberry Piは、ARMベースのプロセッサを搭載し、Linuxやその他のオペレーティングシステムをサポートしており、開発者はさまざまなプログラミング言語やフレームワークを使用してアプリケーションを構築することができます。

モデル

  • Raspberry Pi 4 Model B: Raspberry Pi 4 Model Bは、Raspberry Piファミリーの最新世代であり、より高いパフォーマンスと拡張性を提供します。USB 3.0、ギガビットイーサネット、デュアルディスプレイサポートなどの機能を搭載しており、エッジAIアプリケーションに適した選択肢です。

  • Raspberry Pi 3 Model B+: Raspberry Pi 3 Model B+は、Raspberry Pi 3ファミリーの最後のモデルであり、高いパフォーマンスと信頼性を提供します。無線LAN、Bluetooth、USB 2.0などの機能を備えており、多くのエッジAIアプリケーションに対応します。

  • Raspberry Pi Zero: Raspberry Pi Zeroは、Raspberry Piファミリーの最も小型で低コストなモデルです。その小さなフォームファクタにもかかわらず、基本的なコンピューティング機能を提供し、省スペースのエッジAIアプリケーションやIoTデバイスに適しています。

特徴

  • ARMベースのプロセッサ
    Raspberry Piは、ARMベースのプロセッサを搭載しており、低消費電力で高性能な処理を実現します。これにより、エッジAIアプリケーションやバッテリー駆動のデバイスでの使用に適しています。

  • TensorFlow Liteサポート
    Raspberry Piは、TensorFlow Liteをサポートしており、開発者は簡単に既存のTensorFlowモデルを軽量化し、デバイス上で実行することができます。これにより、エッジデバイス上でのディープラーニングアプリケーションの開発とデプロイメントが容易になります。

  • 拡張性
    Raspberry Piは、豊富なインターフェースと拡張性を備えており、さまざまなセンサーや周辺機器を接続することができます。これにより、開発者はエッジAIアプリケーションやIoTデバイスを簡単に構築し、カスタマイズすることができます。

参考リンク:Raspberry Pi

Apple Neural Engine

Apple Neural Engineは、Appleデバイスでの高速ニューラルネットワーク処理を提供する専用のハードウェアコンポーネントです。このAIアクセラレータは、iPhoneやiPadなどのAppleデバイスに組み込まれており、高速で効率的な機械学習推論を実現します。Apple Neural Engineは、リアルタイム画像認識、自然言語処理、音声認識など、さまざまなディープラーニングアプリケーションのパフォーマンスを向上させるように設計されています。

 

対応デバイス

  • iPhone
    Apple Neural Engineは、最新のiPhoneモデルに搭載されており、高速なディープラーニング推論を可能にします。これにより、ユーザーはリアルタイムの画像認識、自然言語処理、音声認識などのAI機能をiPhoneで利用できます。

  • iPad
    最新のiPadモデルにもApple Neural Engineが搭載されており、高いパフォーマンスと効率性を提供します。iPadユーザーは、ディープラーニングアプリケーションの応答速度を向上させるために、Neural Engineの恩恵を受けることができます。

  • Mac
    Apple Silicon搭載のMac(例: M1チップ搭載のMacBook AirやMacBook Pro)にもApple Neural Engineが組み込まれています。これにより、Mac上でのディープラーニングアプリケーションや開発が高速化され、効率性が向上します。

6.3. 特徴

  • Core MLフレームワーク
    Apple Neural Engineは、Appleの機械学習フレームワークであるCore MLと緊密に連携しています。Core MLは、開発者が簡単に機械学習モデルをAppleデバイス上で実行できるように設計されており、Neural Engineを利用して高速化された推論を実現します。これにより、アプリケーションは効率的にディープラーニング機能を提供できます。

  • 高速AI処理
    Apple Neural Engineは、専用のハードウェアアクセラレータとして設計されており、高速な機械学習推論を実現します。これにより、リアルタイム画像認識、自然言語処理、音声認識などのディープラーニングアプリケーションのパフォーマンスが向上し、ユーザーに最高のエクスペリエンスを提供できます。

参考リンク公式Apple機械学習

 

まとめ

本構成案では、エッジAIのハードウェアとプラットフォームに関するいくつかの主要なオプションを提案しました。それらは、NVIDIA Jetson、Google Coral、Intel Movidius、Raspberry Pi、およびApple Neural Engineです。これらのオプションは、異なる性能、コスト、および独自の技術を提供しています。

NVIDIA Jetsonは、CUDAアーキテクチャに基づくGPUとDeep Learningアクセラレーションを提供し、低消費電力で高性能なAI処理が可能です。Google Coralは、Google Edge TPUを利用した高速ML推論プラットフォームで、TensorFlow Liteサポートと低レイテンシ推論を実現します。Intel Movidiusは、ビジョンプロセッシングユニット(VPU)を搭載したエッジAI向けプラットフォームで、高いパフォーマンスと効率性を提供します。

Raspberry Piは、低コストで多機能なシングルボードコンピュータで、ARMベースのプロセッサとTensorFlow Liteサポートを備えています。また、拡張性が高いため、さまざまなエッジAIアプリケーションやIoTデバイスに適しています。Apple Neural Engineは、Appleデバイスに組み込まれた専用のAIアクセラレータで、Core MLフレームワークと連携して高速なAI処理を実現します。

これらのプラットフォームは、エッジAIアプリケーションに対応する機能を提供し、開発者が効率的にディープラーニングアプリケーションを構築し、デプロイすることができます。適切なプラットフォームの選択により、エッジAIアプリケーションの性能、効率、および拡張性が向上します。

一覧ページへ戻る
 

映像解析AIで新しいこと、
はじめてみませんか?
まずはお気軽にご相談ください。

お問い合わせはこちらから 
SCORERが3分で分かる 資料ダウンロード

映像解析AIを使ったビジネスを始めたいパートナー企業を募集していますPARTNER PROGRAM

VARパートナー(付加価値再販)

VARパートナー(付加価値再販)

SCORER Ready等、弊社が用意しているパッケージに対して、導入コンサルティングやマーケティング企画など貴社の強みにあった付加価値をつけて再販いただくパートナー企業です。

integration_partner

インテーグレーションパートナー

貴社の技術力や開発力を活かし、SCORERを活用したサービスの開発や導入支援、導入後のサポート対応を行って頂くパートナー企業です。
※案件は弊社でご紹介いたします。

詳細を見る

一部パートナー企業